友新インタビュー|大阪弁護士会 会派 友新会

大阪弁護士会には、弁護士の有志で作る会派が7つあります。友新会は、そのひとつで、明治32年(1899年)4月に創立された最も歴史のある会派です。

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友新インタビュー


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吉川隆弘さんはイタリアを中心に活躍されている西宮市出身のピアニストです。友新会旧講演委員会が企画した昨年11月22日のコンサートでは、たくさんの会員に吉川さんのピアノ演奏とインタビューを楽しんでいただきました。

このコンサート企画が非常に好評だったことから、友新会ホームページ委員会では吉川さんの近況を会員の皆さんにお伝えすべく改めて吉川さんへのインタビューを行いました。インタビュアはコンサートに引き続き吉田が担当いたしました。


吉川隆弘さん インタビュー

聞き手:吉田 香(新63期)

(イ)本日はインタビューの機会を頂きありがとうございます。友新会と吉川さんの接点は、昨年11月に旧講演委員会が企画した吉川さんのコンサートにさかのぼりますが、当日の参加者からは次の企画を期待する声が聞かれたほど好評でした。

(吉川)お客さんにはすごくよく聞いていただきました。あのような場で演奏する機会を頂いたことを僕も嬉しく思います。

(イ)現在ミラノ在住だということですが、イタリアだけでなく日本でも演奏される機会が多いようですね。

(吉川)11月4日(日)にはイタリア文化会館で演奏します。イタリア文化会館はイタリア政府のもので、イタリア文化の普及等を目的とした催しが行われている建物です。この日はピアノで綴るイタリア紀行というテーマで演奏をします。

(イ)11月16日(金)には同じプログラムを吉川さんの出身地である西宮市で聞くことができますね。

(吉川)11月16日は、兵庫県立西宮芸術文化センターで演奏します。このプログラムはピアノを通じてイタリア文化に触れてもらうというコンセプトで構成しています。とはいっても単にイタリアの作曲家が作った作品から選曲しているわけではありません。イタリア以外の作曲家が作ったイタリア文化を感じさせる曲を選曲してありますから、非常に聴き応えのあるプログラムになっていると思います。

前半はバッハとリストの作品で、いずれも芸術のイタリアを表現したものです。

バッハは、当時フランスと並んで最先端であったイタリア音楽を学び、「イタリア協奏曲」にバッハが学んだイタリア文化というものを集約しました。ですから、「イタリア協奏曲」はバロック時代のイタリアを感じさせる曲になっています。リストの「巡礼の年 第2年 イタリアより」は、ルネッサンス期の芸術家であるラファエロやダンテにインスパイアされた作品です。

後半はリストとショパンの作品から、ベネチアのゴンドラやナポリの民族舞踊であるタランテラなど、イタリアの情景を描いた親しみやすい曲を選びました。

(イ)プログラムを組むとき、選曲はどのように行うのですか。

(吉川)今回はイタリアに関係がある曲を選びましたが、普段はもっと自由に選んでいます。

同じコンサートに来ていただいたお客さんでも、それぞれ演奏に対して持つ感想は異なります。いろいろなお客さんが来てくれる中で、演奏した曲のどれか一つは必ずそれぞれのお客さんの心に響くようにと考えて選曲しています。

(イ)実際に演奏したところ、吉川さん自身がする演奏への評価と人から受ける評価とが違うこともあるんですか。

(吉川)あります。もちろんコンサート自体がうまくいかなったのであれば、自分だけでなく演奏を聴いてくれた誰もが同じことを感じると思います。でもそうではなくて、自分ではうまくいったと思っていたのに面白かったと思ってもらえないことがありますし、逆に自分では今ひとつの演奏だと思った曲をお客さんがよかったと喜んでくれることもあります。やはり曲自体が素晴らしいと、曲がもつ力に助けられることもあるのだと思います。ただ、すばらしい曲だからといって毎回同じ曲を弾いていては何度も来てくれるお客さんに楽しんでもらうことができないので、色々考えて選曲しています。11月にイギリス文化会館と兵庫県立西宮芸術文化センターで演奏するプログラムでは、コンサートで初めてバッハの曲を入れました。

(イ)こだわりのある作曲家はいますか。

(吉川)よくある質問ですが難しいですね。僕は割とオールマイティです。例えば、僕が留学先をイタリアに決めた理由のひとつには、いろいろな曲を演奏したかったということがありました。もし、僕の留学先がドイツだったらドイツ音楽のスペシャリストになる道が始まったでしょうし、フランスだったらフランス音楽のスペシャリストになる道が始まったと思います。でも、僕はドイツの曲とフランスの曲どちらも演奏したかったので、イタリアを留学先に選びました。

(イ)コンサートではショパンやリストの作品が多いですよね。

(吉川)僕のデビューCDは全てショパンの作品でしたから、その意味ではショパンが好きなのでしょうね。でも、ベートーベンも大好きですし、先ほど言ったように11月に演奏するプログラムにはバッハの曲が入っています。ショパンやリストに限らずいろいろな曲を演奏したいと思っています。

(イ)演奏形態でもいろいろなことに挑戦されていますね。

(吉川)スカラ座主席クラリネット奏者であるメローニとCDを製作したことから、最近は彼と一緒に各地で演奏することが多くなりました。他にも、11月9日にはイタリア文化会館でバレエとのコラボレートしたコンサートを行います。ピアノという楽器は基本的に自分一人で演奏できるので、ピアノ以外の楽器奏者や他の芸術家をゲストとして招いて演奏するということがやりやすいです。これがバイオリンだと、もともとピアノ伴奏を伴っていることが多いのでさらにゲストを呼ぶというのはやりにくいかもしれません。先日は、詩の朗読とのコラボレーションも行いました。ラベルの「夜のガスパール」は詩に基づいて作られた曲なので、詩の朗読とその詩に基づく曲の演奏を交互にしたのです。作品に関係がある詩を先に聞いてから演奏を聴くことで、お客さんはピアノ演奏がより親しみやすいものになったようです。

(イ)将来的にはどのような形態のコンサートを中心にしたいと考えていますか。

(吉川)やはり自分一人でピアノを弾くコンサートを中心にしたいと思っています。現在のところ、自分一人が演奏する機会としてはプライベートなリサイタルが多いです。プライベートなリサイタルというのはイタリアで応援してくれる人に招待されて演奏するものです。場所は必ずしもコンサート会場でなく、お城で演奏したりもします。

(イ)お城であればコンサート会場のように音響設備が整備されているわけではないですよね。どういった会場かは気にならないですか。

(吉川)演奏するピアノは多少気になりますが、会場がどういったものかはあまり気にならないです。日本でコンサートを行う際には音響設備などの面でレベルの高い会場を用意してくれることがほとんどですが、イタリアでは必ずしも設備の良くない場所で演奏することの方が多いです。昨年11月に演奏させてもらった大阪弁護士会館2階会議室なんかはイタリアでいえばきちんとしたコンサート会場に近い会場ですし、もっと活用したら良いと思います。コンサート会場だけでなく弁護士会の会議室などの会場を活用することで、もっとたくさんの人がコンサートに行けるようになればいい思います。

(イ)クラッシックコンサートというと、かしこまった場であって普段よりきれいな服装で出かけるべきなのかが気になります。

(吉川)そうであるべき面とそうであるべきでない面があると思います。そうであるべきでない面としては、必ずしもきれいな服装でなければならない訳ではないのでジーンズをはいて気軽に来てもらっていいということです。でもそうであるべき面というのもあると思います。少しフォーマルな服装をして贅沢な時間を過ごすという楽しみ方もありますから、少しお洒落をしてコンサートに出かけて、例えばその後素敵なレストランやバーで食事するというように普段と違うことをして楽しむのもいいと思います。

(イ)吉川さんのピアノ演奏はNHK-FMの「ベスト・オブ・クラッシック」やNHK-BSプレミアム「クラッシック倶楽部」でも取り上げられていますから、コンサート以外でも楽しむことができますね。

(吉川)特に「ベスト・オブ・クラッシック」では90分間僕の演奏が取り上げられたので、じっくりと演奏を聞いてもらうことができたと思います。「クラッシック倶楽部」の方は50分間ですが、9月3日に再放送されましたしこれからも再放送されると思います。日本では僕のことを知らない方に演奏を聴いてもらえる機会が限られていますから、これらの番組を通じてたくさんの方に僕の演奏を聴いてもらいたいと思います。

(イ)日本とヨーロッパとではどういった違いがあるのですか。

(吉川)日本とヨーロッパとではコンサートの方式が全く違います。ヨーロッパでは会場ごとにコンサートシーズンを通じて聴ききてくれる固定客がいて、その会場に呼ばれて演奏するので僕のことを知らない方達にも僕の演奏を聞いてもらえる機会があります。

(イ)コンサートシーズンというのはコンサートが多く開かれる時期のことですね。コンサートシーズンとそれ以外のシーズンとで、吉川さんの生活は全く違うのですか。

(吉川)コンサートシーズンは10月から6月までというのが一般的です。ただ、僕はプライベートなコンサートに呼ばれることの方が多いですから、コンサートシーズンに関係なく演奏しています。そもそもコンサートシーズン自体、コンサートが行われる時期に決まりがあるというわけではありません。6月半ばから8月まではお客さん自身が夏休暇で出かけてしまうのでコンサートが少なくなるというだけのことです。夏休暇の間であっても、例えばトスカーナ地方では8月に約1週間の音楽フェスティバルが開催され、僕も演奏しました。

(イ)コンサートシーズンが終わって夏の休暇シーズンになったからといって吉川さんがゆっくりと過ごせるわけではないのですね。

(吉川)イタリアでは休暇の間学校や幼稚園がずっと休みになるので、子供の面倒を見なければならずむしろバタバタしています。学校は6月と7月が全て休みになるのですが、フリーで働いている僕や妻は休暇シーズンでも仕事が入りますから。

(イ)休暇シーズンの間、お仕事がないときは吉川さんがお子さんの面倒を見るのですね。

(吉川)コンサートがない日は子供の面倒を見ます。でも、ピアノの練習をすることも僕の仕事なので、コンサートがない日でも誰かに子守をお願いして練習をしたりします。

(イ)ミラノ在住のお子さんは日本語を話せますか。

(吉川)今のところ、子どもは日本語を話せないです。妻が日本語をほとんど話せないので、僕も家ではイタリア語で話しています。僕が頑張って子どもに日本語で話しかけようと思ってはいるのですが努力が足りないですね。子どもには日本にいる祖父母と会話できるようになってほしいので、やはり僕がもっと頑張って、子どもにたくさん日本語で話しかけないといけないのかもしれません。

(イ)吉川さん自身は、イタリアで生活を始めたときイタリア語を話せたのですか。

(吉川)初めはあまりイタリア語を話せませんでした。大学では出欠が厳しくなかったという理由でフランス語を選択しましたし、あまり語学が得意というわけではなかったです。それでも、1999年にミラノで暮らし始めてから13年になります。イタリアに住んでしまえばどうにかなります。

(イ)本日は、公私にわたっていろいろとお話し頂きました。吉川さんの活躍の場がイタリアや日本から世界に広がる日が早く来ることを心待ちにしています。そして、吉川さんには是非もう一度友新会で演奏して頂きたいと思っています。本日は本当にありがとうございました。


【吉川隆弘氏プロフィール】


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兵庫県西宮市生まれ。1996年東京藝術大学卒業、1999年同大学院修了。大学院修了時にベーゼンドルファー賞受賞。1999年渡伊。これまでに志水英子、堀江孝子、辛島輝治の各氏に師事、イタリアではアニタ・ポリーニ(コルトー、ミケランジェリの弟子)に師事。ミラノ・スカラ座アカデミー(2001年〜2004年)においてスカラ座管弦楽団の首席奏者たちに室内楽を学ぶ。

2001年12月カミッロ・トーニ国際ピアノコンクール1位なしの2位(伊ブレーシア)。2002年7月シューベルト国際音楽コンクール優勝(伊タリオーロ・モンフェッラート)。2003年2月グロッセート国際室内楽コンクール優勝(伊グロッセート)。同年5月ポール・ハリス国際ピアノコンクール優勝(伊ミラノ)。

現在はミラノを拠点にソロ、室内楽で活躍。ミラノ・スカラ座管弦楽団、ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団、ベルガモ・ドニゼッティ歌劇場管弦楽団、スカラ座室内オーケストラ i Cameristi della Scala、ミラノ・スカラ座アカデミー管弦楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団、ステファノ・ランザーニ、ポール・コネリー、ニール・カバレッティ、堤俊作、阪哲朗、藤岡幸夫(以上指揮)、ミラノスカラ座弦楽四重奏団、ミラノスカラ座木管四重奏団、その他、著名な器楽奏者との共演を重ねる。

2006年6月ミラノスカラ座『モーツァルトの夕べ(Serata Mozart)』においてポール・コネリー指揮ミラノスカラ座管弦楽団と共演(8回公演)。ピアノ協奏曲k.271「ジュノム」全曲および3つの緩叙楽章を演奏し、Il Corriere della Sera紙より“完璧なピアニスト”と評される。2007年1月ミラノスカラ座にてモーツァルトのk.467およびk.488の再演。2007年10月にはミラノスカラ座バレエ公演『Le Parc』においてモーツァルトのピアノ協奏曲(K.449 K.450 K.488)の緩叙楽章を演奏(10回公演) 、la Repubblica紙より絶賛される。

2009年ミラノ:リーメン社(Limen music&arts)よりオールショパンプログラムの初CDを発売。2011年10月同社より「夜」をテーマにしたDVD+CDが発売される。