第15回業革シンポと公設事務所訪問

副幹事長:和 田  徹(37期)・大 村 昌 史(50期)

10月5日、秋晴れの札幌で、第15回弁護士業務改革シンポジウムが開催されました。友新会からは、執行部で把握している限りでも17名の会員が参加しました。今回のテーマは、「事務所を! 私を! ステップアップ ~新しい時代の期待に応えて~」というもので、以下のとおりの4部構成となっており、いずれも盛況でした。

第1分科会 小規模事務所の人事戦略【新人弁護士とともに次なるステージへ】

第2分科会 華麗なるキャリアプラン【あなたも挑戦しませんか】

第3分科会 地方分権新時代と弁護士の役割【弁護士を活用した自治体法務のあり方】

ITブース  乗り遅れないために【弁護士業務の効率化・コストダウンに役立つIT関連技術の紹介】


弁護士法人すずらん基金法律事務所にて

この中で、特に興味深かったのが第2分科会で、我が友新会の平泉真理会員(海外留学、任期付き公務員を経て、現在バイエル薬品社内弁護士をしておられます。)がお元気な姿で登場されました。海外留学、任期付き公務員、国際協力機構職員、企業内弁護士、公設事務所派遣弁護士等をされている先生方が、パネリストとして自己のご経験を踏まえて多様な議論を展開されました。また弁護士任官をされた現職裁判官や裁判所の他職経験制度により現在弁護士をしておられる裁判官の方々も、会場から発言をしておられました。弁護士一筋二十有余年、他職ではおよそ使い物にならない弁護士(和田のことです。大村ではありません!)にとっては、パネリストの皆さんが本当に眩しく見えました。今後、他職に就き、あるいは過疎地で活躍される弁護士が増加し、弁護士に対する社会の信頼を高めるであろうことを確信した次第です。

執行部と企画調査委員会の有志の間では、今回の業革シンポの折りに、北海道の公設事務所を訪問することを計画しましたところ、北海道弁連のご協力を得てこれを実現することができましたので、以下にそのあらましを報告します。


弁護士法人すずらん基金法律事務所にて

まず、10月5日の昼休みに、シンポの合間を縫って、企画調査委員会の阪井紘行会員、安田嘉太郎会員そして和田の3名で、札幌弁護士会館内の「弁護士法人すずらん基金法律事務所」を訪問しました。同事務所では、北海道弁連の同事務所運営委員会事務局長であられる長田正寛先生、そして同事務所社員弁護士の先生方に暖かく迎えていただき、同事務所の現状についてお話を伺うことができました。詳細につきましては、追って別冊友新で報告する予定ですので、以下、大阪の公設事務所の参考になると思われる点を列挙するにとどめます。

(1)同事務所は、所長を置いておらず、若手の社員弁護士と事務局のみで構成されている。その代わりに、運営委員会の委員が助言・支援を行い、ある程度の監督もしている。

(2)その目的を、過疎地域への派遣弁護士の養成に特化している。したがって、取り扱い事件に特に制限を設けていない(刑事事件、扶助事件、少額事件等に重点を置くといったことはしていない。)

(3)設立当初は赤字であったものの、現在は黒字になっている。北海道弁連からの補助も、平成17年度に2500万円の貸与を受けたのみで、平成18年度以降は全く受けていない。事務所家賃、リース料等もすべて自己で負担している。

(4)既に3名の弁護士を道内の過疎地域に派遣しており、さらに近々2名を派遣する予定である。



ひだかひまわり基金法律事務所内にて。
左から阪井紘行会員、海川道郎先生、成田史郎先生

翌10月6日、今度は札幌からJRを乗り継いで約2時間半、阪井紘行会員と大村の2名で、日高郡の静内にある「ひだかひまわり基金法律事務所」を訪問しました。休日であるにもかかわらず、同事務所の成田史郎先生と、最初の赴任者で現在個人事務所を近隣のビルに開設しておられる海川道郎先生が快く迎えて下さり、現状をお聞かせ下さいました。以下、参考になると思われる点を列挙いたします。

(1)地元の法律に対するニーズは大きい。

(2)管内の札幌地裁浦河支部の開廷日は月に2回。連日開廷で、初日が刑事、2日目が民事となっている。

(3)刑事事件のうち自白事件は、即日結審し判決宣告となる。

(4)医療過誤等の難しい案件の場合には、札幌弁護士会の知り合いの弁護士に相談したりしている。

(5)若手が赴任する流れを作るためには、相談相手などのサポート体制を作ることが大切と思われる。

上記の両公設事務所訪問につきましては、今後別冊友新で詳細をご報告する予定ですので、ご期待下さい。

以上、ご報告いたします。