第6回 事件記録の謄写問題が解決-地検堺支部

大阪弁護士会 副会長 藤 木  久

1 地検堺支部の謄写問題が解決しました

今年3月まで大阪弁護士協同組合がコピー機を地検堺支部に設置して同庁の記録謄写業務をおこなっていましたが、謄写が入札制度になり、4月から西村謄写館とOPOセンター(検察庁職員OB団体)が大阪地検の謄写を一括して扱うようになりました。その結果、堺支部の記録謄写もこの2業者が扱うこととなりました(業者間の協議で謄写作業は西村謄写館が実施)。

そこで2つの問題が生じました。まず、西村謄写館は謄写の度に大阪から携帯型コピー機を堺支部に持参して謄写を始めましたが、効率が悪く謄写業務が大幅に遅滞しました。次に、西村謄写館はコピー機を持ち込んで謄写するため出張料を請求したのですが、それが高すぎるという苦情が殺到しました。

本来、弁護士会マターではありませんが、会員の業務に支障が生じていますので、4月早々、大阪地検に対し、「地検は管轄地域の記録謄写が円滑かつ合理的な費用で可能となるべき体制を構築する義務があるから、謄写業者に対し堺支部内でのコピー機設置を認めるなどの対処をして早急に問題を解決されたい」旨を、西村謄写館に対しては、「応札した以上、遅滞なく謄写業務を処理する責務があるからすみやかな謄写をなすとともに、出張料の算定根拠を示されたい」旨を申し入れました。

その後、5月中旬から西村謄写館が堺支部直近に事務所を賃借したことから、謄写の遅滞が若干緩和されるとともに出張料が減額されました。しかし、謄写の遅延は相変わらずで、特に確定記録の謄写が遅れていましたし、出張料は若干減額されたとはいえ、もともと低い国選報酬を考えれば弁護人の大きな負担となっていました。

そのため、検察庁に対し抜本的な解決をなすよう要望を続けてきましたところ、ようやく9月から、西村謄写館が堺支部にコピー機を設置できることとなりました。これで謄写の遅延の原因が解消されましたし、また、西村謄写館からは堺支部に西村さんのコピー機が設置された時点で堺支部の案件には出張料を請求しないとの回答を得ていますので、4月以来の懸案が抜本的に解決されることとなりました。

2 藤井寺、日根野でショッピングモール法律相談がスタート

新しい発想の法律相談が始まります。市民への司法アクセスを改善するため、当会は総合法律相談センターの支所を堺、岸和田、谷町、千里、南河内、枚方と設置してきました。しかし、支所開設には、事務所賃料、職員給与が必要ですし、良い場所を選定するのも簡単ではありません。どんなに良い場所でも広報を続けなければ利用者が増加しませんが、広報費用を際限なく使うこともできないため、悩ましい問題になっていました。

今般、イオンさんの協力を得て、イオン日根野ショッピングセンターとイオンモール藤井寺で10月から無料法律相談をスタートすることになりました。大阪弁護士会がイオンさんの協力によって無料法律相談をモール内で開催すればモール来館者に対し優良なイベントを提供できるし、モールが地域のコミュニティとしての性格ももつことができることなどを訴えて、イオンさんのご協力を頂けることになったものです。

この方式には画期的な点が3つあります。
(1)人通りの多いモールに相談拠点を確保できる
(2)イオンさんが無償で相談場所を供与する(当会は使用料を負担しない)
(3)モールが配布する新聞折り込みチラシに法律相談を掲載し広報面でも協力する
というものです。

イオン藤井寺は近鉄藤井寺市駅の駅前にあり地域の一番店です。イオン日根野店はJR阪和線日根野駅近くの巨大モールです。月1回、午後1時から午後4時まで。相談員は弁護士2名とし、1名は事前予約、1名は当日申込に対応する予定です。モール入口やふれあい広場に受付デスクを設置して視認性とイベント性を高めると同時に、相談場所は別に部屋を準備してもらい相談時の守秘性も確保することとしました。

藤井寺も日根野も法律相談の空白地域でしたので、どんな効果が出るか、興味津々です。新しい法律相談にご注目ください。

以上