第9回 最近の会務の動きから
~第三者委員会委員推薦事業と一部会費減額の動き~
大阪弁護士会 副会長 藤 木 久
1 第三者委員会委員推薦事業をスタートします
第三者委員会をご存知ですか。独立委員会ともいいます。企業が不祥事を起こしたときにその原因などを調査するために設置されたり、敵対的買収の防衛策を発動するときにその是非を判断するために設置されることがあります。近時は、事業活動の正当性を担保するために、適用範囲が更に拡大する傾向にあります。
第三者委員会の委員には社外の監査役や取締役、学識経験者などとともに、多くのケースでは弁護士、公認会計士が選ばれています。
ただ、実際に設置された第三者委員会の評価は必ずしも芳しいものばかりではありません。その一因として、(1)企業が選任するため委員の中立性が担保されていないときがある、(2)事案の特性に合致した弁護士や会計士が選任されていないときがある、(3)委員の調査権限・調査能力が十分でないことなどが考えられます。
このような現状を踏まえ、今般、大阪弁護士会と公認会計士協会近畿会とが連携をして、第三者委員会委員候補者の名簿を作成し、希望する企業などへ委員を推薦する事業を開始致します。依頼があるときは、原則として弁護士と会計士の双方を委員として推薦し、両者が連携しながら調査などをすることによってその質的向上を図ることができればと考えています。
来年2月までに推薦する委員候補者名簿を策定し、事業のスタート時にはマスコミへの発表を考えています。また、関西経済連合会の会員誌へ広告を掲載するなどして企業や団体への広報をはかる予定です。
名簿の登載要件は次のとおりです。要件の1つである研修は本年12月から開始します。友新会の飯村佳夫、山口利昭会員にも講師をご担当頂く予定です。是非、大勢の皆さんの応募をお待ちしています。
- 弁護士経験10年以上。ただし、弁護士経験5年以上で法曹経験10年以上の者を含む。
- 当会が名簿登録要件として指定した研修を、上記①の時点以降に受講した者(年度ごとに開催)
- 当会所定の様式によって当会に申し込んだ者
2 当会会費の減免が検討されています
当会の会費に関し動きが出ています。
- 新入会員には入会時に会館特別会費40万円が課されます。現在、これを10万円ずつの4年分割で納付することが可能ですが、4年以内に途中退会したときも残金を支払うべきか、免除すべきかにつき、財務委員会に諮問をしています。
- 当会会則161条は「会員に特別の事情があると認めたとき」は会費の減免ができると定めています。その具体的な運用は常議員会が運用準則を定めていますが、現在の規定は、疾病などによって「弁護士業務の執務が不能等となり、会費の支払いをなすことが経済的に困難であると認められたとき」に減免がされるとされています。つまり、文言上は、弁護士業務が困難になっても、貯金や年金があれば経済的に困難とはいえず、会費減免の対象にはならないことになります。しかし、従前から、弁護士業務に従事できないときは、貯金や年金などのストックがあっても会費を減免する運用が続いてきましたので、今般、常議員会から、上記準則規定を運用に合致するように改めるべきであるとの答申がありましたので、近々に運営準則の改正を行う予定です。
- 男女共同参画推進本部から会長にあてて、育児期間中の会費減額の要望がありましたので、会長から常議員会に対し、育児休業中の会費の在り方について諮問しました。来年1月か2月には答申がある見込みです。
- 現在、日弁連では新入会員に限り登録から2年間一般会費を半額に減額していますが、当会新入会員の会費も一定範囲で減額すべきではないかがかねてから議論されてきましたので、会内に検討PTを設置し、正式に検討を始めることとしました。
- その他にも、組織内弁護士と海外留学者の会費の在り方について常議員会に諮問をする予定です。組織内弁護士が新しい弁護士の職域として定着しつつありますが、その会費はどうあるべきか。また、わが国の弁護士は国際化が遅れ、多くの内外の需要に対応しきれていないのが実情ですので、政策的にも海外留学を推進すべきではないかなどが検討されるものと思われます。
年度末まであまり時間がありませんので、次年度にまたがる課題になりますが、会員の皆さんのご意見をどうぞ沢山お寄せください。
以上