第3回 初心を思い出しました

大阪弁護士会 副会長 小寺 史郎

友新会の皆さん、日頃は会務で大変お世話になっております。

7月5日の三木副会長の第2回原稿から2か月経ってしまいました。二人三脚は、小寺の失態により早くも解体かと危ぶまれます。


1.【研修所教官の推薦について】

推せん担当の理事者は日弁連の弁護士推薦委員会の委員になります。日弁連単位ですので、国の機関や各種全国団体の委員に関する推せんが多くあります。特に、重要なものとしては、司法試験考査委員や司法研修所弁護教官の推せんがあります。

先般、司法研修所の弁護教官(民事・刑事両方)の推せん手続で、候補者の面談があり、質問者として出席しました。候補者数は、民弁は16名、刑弁は10名の方で、ほとんどが東京の会員でした。教官として一番大事にしたいことは何かという質問では、多くの回答は「修習生に弁護士の仕事はやりがいがあることを教えたい」、「夢や希望を与えたい」、「自分の頭で考える習慣をつけさせたい」で、大いに共感できました。

さらに、弁護教官は、他の教科の教官と比べて、依頼者(被告人も含みます)や生の事件に一番近くに存在する、依頼者の言い分や要望を良く聞き、共感し、法律の世界での実現可能性を追求する、少々無理筋でも依頼者の立場に立って、一歩でも進むことができることを教えたい、という熱い思いに接しました。

印象に残った事件を語ってもらうと同時にそこから引き出される教訓では、……依頼者のために全力を尽くす、もう一歩進んで調べる、事実を探求する、負け筋でも諦めない、決めてかからない、1件1件大切にすること、すぐに動く、無罪主張の際の弁護士倫理の問題……などなどの回答があり、とっても新鮮な気持ちにさせられました。

以上、初心に返る機会を与えてもらったことに感謝しております。面談された皆様方全員が教官になられるわけではありませんが、今後のご活躍を心より念じております。

また、関西の法科大学院のことを考えますと、法科大学院に関係していた会員は、大変ですが……、司法試験考査委員にもどしどし応募していただきたいと思います。


2.【23条照会について】

23条照会は、最終的には、副会長が照会の可否について決裁しております。私は、23条小委員会の主担当ですので、難しい案件が回ってきます。もともと処理速度は速い方ではありませんが、それにしても、決済に、他の副会長の3倍以上の時間がかかっているようです。4月から8月末まで約5か月の間、毎日、23条照会の決裁に取り組んでおり、少しは慣れてきました。大阪弁護士会では、年間約1万8000件の申立があり(件数では全国の単位会では断トツの1番です)、実況見分調書など単純なものを除いた約9600件近くが副会長の決裁対象で、単純に7で割っても一人当たり1370件がきます。平日が年間250日としますと平均5.5件で、担当の私は最低でも一日約6、7件程度抱えています。

ご承知のように、23条照会は単位弁護士会の会長名で出すもので、単位会として照会をかけて良いのかどうか、申出会員の利便(回答により得られる結果)と照会先の負担、照会が必要かどうか、また相当かどうか、など、色々と考慮することが多く神経を使います。

23条照会の決裁で一番気になることは、申出の理由の文章です。主語と述語が対応しない、本来ならば「○○が」となるのが「○○に対して」と、日本語が乱れているものがあったり、省略がひどく何のため照会したいのかさっぱり分からない(色々想像したり善解したりしますが、それでも分からない)ものがあります。弁護士会名で出す文章としてはどうかと思い、電話やFAXで指摘をします。すると、ほとんどは、きれいに直ってくるので、最初から、見直して修文してくれればよいのに、とやや残念な気持ちにさせられます。

紛争情報を相手方の生活領域に送ることになる照会は、ご承知のように、23条決裁でも最も気を遣います。申出の理由がもともと事実と異なる、強調点が違う方向に行っている場合などは限界がありますが、できるだけ問題が生じないよう役員室一同センシティブになっています。回答拒否の可能性が高い場合や、23条照会を使わなくても情報を得られる場合の扱い、件数の数え方、回答拒否に対する対応など、23条を取り巻く問題は数多くあります。

23条嘱託の前捌きがあるとはいえ、単年度理事者が決裁することはそれなりの限界も生じますし、副会長の間でも差が生じます。現状では、やむを得ないことかも知れませんが、他の単位会における工夫などを参考に、より良い運用ができればと、考え込んでいます。友新会の皆様方から、色々教えていただければ幸いです。

以上