第3弾!! 国民投票法案の問題点

大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)

副会長に就任してから20日余りが経過しました。十分な引継ぎは受けておりましたが、実際、業務を開始してみると、聞くと行うとでは異なり戸惑うこともありました。
しかし、今では一応慣れてきたと思います。

さて、新聞報道等でもご存知のとおり、国民投票法案が今国会成立の公算が大であるという報道がなされています。国民投票法案の問題点についてご報告します。国民投票法案については、大阪弁護士会では平成18年2月23日と平成19年3月27日の二度にわたり会長声明を出し、主に下記のような法律上の問題点があることを指摘し、国民投票法案に反対するとともに、論議を十分尽くすよう慎重な審議をも求めています。

また、平成19年4月13日に衆議院で可決されましたので、4月16日、「参議院における十分な審議を求める」旨の会長声明を出しました。

1)
国民投票の最低投票率に関する規定がおかれていません。
会社法との対比で言えば、定款の変更については定足数が設けられていますが、国民投票法案では定足数が設けられていないということです。
2)
国民投票運動の制限が広い。
例えば、公務員や教育者の地位利用による国民投票運動が禁止されています。
3)
資金力によって情報提供の格差が生じます。
多額の資金を要するテレビなどの有料広告は投票日の2週間前までは自由ですので、資金力によって情報提供に格差が生じます。
4)
国会発議から国民投票までの期間が短い。
憲法改正の国会発議から国民投票までの期間は60日以降180日となっており期間が短い。
5)
投票に一括投票の余地が残っています。

先日も大阪で公聴会が開催され、私自身も傍聴しました。この公聴会では、国民投票法案に賛成する公述人も反対する公述人も、異口同音に拙速は良くない、十分審議を尽くすべきであるとの意見を出しておられました。

以上、国民投票法案の問題点についてご報告しました。

以上