第20弾!! 「弁護士業務の妨害」について
大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)
1 弁護士業務の妨害
2007年9月10日、大阪弁護士会所属の会員事務所に勤務する職員が弁護士の取り扱っている法律事件の関係者によって殺害されるという痛ましい事故が起こったことは、新聞で報道されたとおりです。
このようなことは決して許されるものではありません。大阪弁護士会でも、2007年9月14日会長声明で、「当会は弁護士業務への妨害に対する対策強化をするとともに、卑劣な妨害行為に決してひるむことなく、弁護士の使命を貫徹し、法の支配を実現するため邁進する決意であること」を表明しました。
2 弁護士業務の妨害の現状
弁護士業務の妨害の現状については、大阪弁護士会の「民事介入暴力及び弁護士業務妨害対策委員会」(以下「民暴委員会」という)が調査した結果を簡単に説明すれば、下記のとおりです。
記
- 1)発生件数
- 平成6年7月からこれまで、弁護士が取り扱った事件に関連して、約50件の弁護士及び法律事務職員に対する業務妨害事案が発生しています。また、弁護士等に対する業務妨害事案は、これを対外的に報告し、内容を明らかにすることを潔しとしない気持ちにより、暗数が多いと言われており、実際の事件数は、調査により判明した数字を遥かに超えるものであると考えられます。
- 2)どのような弁護士業務に関連して発生しているか
- 弁護士等に対する業務妨害事案は、民暴事件に関連した反社会的勢力によって敢行されたものばかりでなく、交通事故、ドメスティックバイオレンス、離婚等、一般の弁護士が取り扱う通常事件に関し発生したものが少なくありません。
- 3)予兆
- 被害発生に先立ち、脅迫的な電話、つきまといといった予兆があることが多いようです。
3 大阪弁護士会の対策
大阪弁護士会では、弁護士業務の妨害に関する取り組みとして、主に、次のような取組みをしています。
- (1)弁護士業務の妨害に関する支援制度
- 大阪弁護士会では、従前から民暴委員会の「弁護士業務妨害に関する支援制度」があります。この制度は、弁護士が業務を不当に妨害された場合に、当該弁護士に対する援助指導やその他必要な措置をとるなどして、当該弁護士を支援する制度です。
- (2)会員サポートシステムの立ち上げ
- 本年度末までに、会員サポートシステムを立ち上げることを考えています。このサポートシステムとは、簡単に言うと、悩める弁護士の何でも相談窓口ということです。当然、業務妨害に悩んでいる弁護士の相談にも応じる体制も組みます。
- (3)研修会及び小冊子の発行
- 民暴委員会では、弁護士および法律事務所に勤務する職員を対象にして、下記日時・場所で弁護士業務妨害に対する支援制度に関する研修会を開催します。多くの弁護士及び職員の方の出席を待っています。
- また、この夏の8月25日に民暴の夏季合宿で取り上げたテーマ「弁護士業務の妨害」について、この合宿でまとめたものを小冊子にして各弁護士に配布する予定です。
記
・日 時 2007年10月18日午後5時30分から午後7時30分
・場 所 大阪弁護士会館2階
以上