第8弾 警察・検察庁の取調べを全て録音・録画すること

大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)

1 日弁連は、警察・検察庁の取調べを全て録画・録音すべきであるとの運動を展開しています。これは、2009年から実施される裁判員裁判制度の裁判員の負担を軽くすることにつながりますし、また、今まで繰り返し起こしてきた過ち-無実の人に罪を着せる原因となる、密室での取調べによる自白の強要をなくすことになると考えます。


2 裁判員に選ばれる人は、できるだけ分かり易い手続の下で裁判員の仕事をしたいと思いませんか。

例えば、犯罪を犯していないのに犯したと嘘の自白をするよう、取調べ段階で強要されたのか否かが争われている場合、これを争っている被告人やこの取調べ担当官の証言を聞いて、本当はどっちだったのかについて容易に判断できるでしょうか。

それよりも、取調べの内容をビデオ録画しておいて、裁判員がこれを見た方が簡単に判断できるとは思われませんか。


3 また、最近、鹿児島県の志布志市で公職選挙法違反の刑事裁判で逮捕されてから12年目に無罪となった事件が報道されましたが、この内容は新聞報道等でご存知のことと思います。

この事件は、警察の捜査段階で、やってもいないことについて自白を強要された事件でした。新聞報道によると、捜査段階での自白の強要以外にも「踏み字」行為、そのほかにも異例と思える長時間の勾留などが問題となりました。

この事件の場合でも、仮に、警察の捜査段階でビデオ録画するという制度が実施されていたら、このような事件は起こったのでしょうか。密室において取調べが行われていたからこそ起こったと考えられます。


4 現在、最高検察庁の指示の下で、裁判員裁判の対象となる事件の一部について検察庁での取調べを一部録画・録音することが実施されています。最初は東京地検のみが対象となっていましたが、今般、東京地検だけでなく各地検においても実施される予定です。

日弁連では、警察・検察庁での取調べ全ての録画・録音の実施に向けて、今実施されている一部録画・録音の運用状況について情報収集を行っています。

会員の皆様は、仮に検察庁の実施している一部録画・録音の取調べの刑事事件の刑事弁護人になられた場合は、是非、日弁連に情報提供をお願いします。情報提供の用紙も準備されていますので、ご協力のほど宜しくお願いします。


以上