第6弾 適正な国選弁護報酬の実現に向け

大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)

今、日本弁護士連合会では、適正な国選弁護報酬の実現に向けた運動をしております。

この運動は、刑事裁判手続の意義から考えて、この手続において重要な役割を担っている弁護士に、それにふさわしい刑事弁護活動を支える土台の一つを構築するということです。

1 刑事裁判手続の意義

刑事裁判手続で被告人になった人は、憲法で「弁護士を弁護人として依頼することができるし、被告人が自ら弁護人を依頼することができないときは国がこれをつける」となっています(憲法第37条)。例えば、無実の罪を着せられて刑事裁判手続にかけられたときに、弁護士が弁護人としてつかず、その人が刑事裁判手続を自ら進めなければならないとなったらどうでしょうか。無実の罪を着せられたまま、刑罰を受けるという不利益を受けることになるのではないでしょうか。

まさに、私は、弁護人の役割が無実の罪を着せられることのないようにするために刑事弁護活動をすることにあると考えます。

憲法は、無実の人に刑罰を科すことのないように、被告人が弁護人をつける権利を有することはもちろん、自己に不利益な供述を強要さたり、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には刑事罰を科されないとも定めています(憲法第38条)。

2 適正な国選弁護報酬の実現に向けたアンケートの実施

日本弁護士連合会は、適正な国選弁護報酬の実現に向け、アンケートによる実態調査を実施しています。

本アンケートは、既に、日本弁護士連合会から各会員(国選弁護人・当番弁護士名簿登録弁護士)に対し、配布されています。本アンケートは、実際に受任した国選事件について、どのくらいの時間及び費用をかけているか、それに見合う報酬額はいくらと考えるか等について回答を求めるものです。

 

この回答期限は、2007年(平成19年)5月21日までです。

日本弁護士連合会が進めている適正な国選弁護報酬の実現に向け、多くの会員が本アンケートに協力していただくようお願いする次第です。

以上