第22弾!! 公設事務所 -弁護士法人大阪パブリック法律事務所- の衣替え

大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)

1 公設事務所の衣替えって何?

公設事務所について、大阪弁護士会は、2008年4月1日から、公設事務所の機能を拡充するとともに、自立的経営をスタートさせることを目指しています。

このため、本年10月31日に予定される大阪弁護士会の臨時総会にて承認を得るべく提案されている、公設事務所の「衣替え」の内容について説明します。


2 衣替えの必要性

公設事務所の衣替えは、弁護士会を取り巻く法的環境への対応の必要性から要請されるものです。それは、2009年問題に対する対応の必要性と、弁護士過疎解消のための人材養成の必要性です。

2009年問題とは、2009年から実施される裁判員裁判制度と、被疑者国選弁護の対象の拡大(必要的刑事弁護事件)とに対応できる、弁護士会としての体制作りの問題であり、刑事司法制度を担う弁護士会の役割が今までにも増して重要になります。この役割を担う一つとして、公設事務所の機能を拡充して刑事弁護の拠点事務所としようというものです。

また、弁護士過疎解消のための人材養成の必要性とは、弁護士過疎解消のために取り組んでいる日弁連及び法テラスの制度に対し、これらの制度を担う弁護士を養成する必要性のことであり、ここでも公設事務所の機能を拡充する必要があるというものです。


3 機能の拡充と自立的経営の確立を目指して

このような衣替えの必要性に応えるために、公設事務所の業務の範囲を拡充するとともに、自立的経営を図れるような仕組みとすることを提案します。

(1)機能の拡充
公設事務所の業務に、(ア)社会的理由や経済的理由等により、弁護士に依頼できないような人の相談や事件の依頼を受けたり、(イ)刑事事件の国選弁護等を行うことのほかに、新たに、(ウ)弁護士の養成が加わりました。この弁護士の養成とは、公設事務所で、弁護士過疎地の法律事務所(例えば「ひまわり基金法律事務所」)への派遣弁護士及び日本司法支援センターの常勤スタッフ弁護士として、公設事務所に所属する弁護士を養成することです。
(2)自立的経営の確立
大阪弁護士会は、今までは、公設事務所に対し、一定の援助として、たとえば、公設事務所運営委員会の意見を聞いて年間4500万円を限度とする貸付を行い、同委員会が相当と認めたときは、この貸付金の一部または全部の免除をしてきました。
これに対し、今回提案される新たな公設事務所については、今までの援助の方法を下記のように見直します。
公設事務所の業務内容から考えると、他の一般的な法律事務所と比較して経営的基盤が脆弱なことは否めませんので、大阪弁護士会は、今後も一定の援助は継続することに変わりありませんが、今回の提案は、下記のとおり援助の明確化・厳格化及び透明化を図ろうとするものです。
1) 無償貸与:公設事務所が業務を行っている場所及びリース機器等の備品は、大阪弁護士会が無料で使用させます。これは、約2000万円位です。
2) 貸付:貸付限度額は金2000万円を限度とし、貸付の手続、要件や返済方法等が今までとは異なり、透明性を備えるとともに、より厳格なものに変更することを提案するものです。
• 貸付の手続―貸付は常議員会(総会の次に位置する機関)の決議を経なければならないものと改めます。
• 貸付の要件―公設事務所の決算(中間決算を含む)において損失が生じている場合で大阪弁護士会が必要と認めたときと改めます。
• 貸付の返済方法等―貸付金の弁済方法の変更、弁済の猶予または全部若しくは一部の弁済の免除については、公設事務所の業務の遂行状況、財務内容等を考慮し、常議員会の決議を経て行わなければならないものと改めます。

以上