第11弾!! 国選弁護報酬の増額が政治課題に

大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)

1 骨太の「基本方針2007」

皆様、6月20日新聞報道でもご承知のとおり、経済財政諮問会議で経済財政改革の「基本方針2007」が閣議決定されました。この中で、「民事法律扶助や国選弁護に対応する日本司法支援センターの体制の充実等の司法制度改革を推進する。」と記載された箇所があります。

これは、民事法律扶助や国選弁護の報酬を適正な額まで増額することが政治課題になったことを意味します。つまり、政府も本腰を入れ、これを検討することになったのです。


2 法テラス後の国選弁護報酬

先日、若手弁護士の意見を聞く機会がありましたが、「若手弁護士が一生懸命国選弁護をしても、実費の支払等を含め、国選弁護に見合うだけの報酬が支払われていない」という多数の声が上がりました。まさに、手弁当で一生懸命に刑事弁護に取り組んでいる姿が目に浮かぶようでした。

日弁連で、最低限、国選弁護にかかった費用(弁護士の所得を含まない)をまかなう金額がどのくらいかの視点から検討した試算があります。この試算では、判決も含め2回の裁判で終了する刑事事件の場合、弁護士が費用の持ち出しをしない限界の金額は金149,634円であると試算しています。

しかし、法テラスの基準では、国選弁護報酬は金73,000円です。

これからみても、弁護士が手弁当で頑張っていることが裏づけられます。

このように弁護士の手弁当で国選弁護を行うことは何時までも続くものではないと考えます。特に、現在は、弁護士大量増員時代を迎えており、弁護士が今まで以上に事務所経営に力を傾注しなければならない時代に突入していることを考えると、なおさらです。

今こそ、刑事弁護の意味からいうと(この点については、第6弾の「適正な国選弁護報酬の実現に向けて」で説明しております)、国選弁護報酬の増額は、弁護士の刑事弁護活動を支える土台の一つを確かなものにすることであるといえます。


3 国選弁護報酬アンケートの再度のお願い

日弁連では、国選弁護報酬の増額を実現するための資料として、国選弁護報酬アンケートを実施していますが、アンケート回収期間が短かったせいもあって、周知徹底できていませんでしたので、再度、7月10日までアンケート回収期限を延期しております。

国選弁護報酬の増額が政治課題にあがったという状況を踏まえ、これを実現するためには、国選弁護に携わっている弁護士の多くの声が必要不可欠です。

どうか、国選弁護報酬アンケートにご協力のほど宜しくお願いします。

以上