第28弾!! 法教育の実施

大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)

1 法教育って何?

法教育とは、法律専門家でない方々に、法及び司法制度に関する知識とこれらを基礎づける基本的な考え方や価値を身につけてもらう教育です。例えば、私達は色々な約束をしながら社会生活をしています。子どもに「何時までには家に帰ってきなさい。」と言い、子どもは「うん、分かった。」と言って遊びに行きます。そして、子どもが約束通り家に帰ってこなかった時に、私達は、子どもに対し、なぜ約束を守らなければならないかを教えているでしょうか。

このように、どうして約束を守らなければならないのか等について分かってもらおうというのが法教育です。


2 法教育の必要性

2009年度からは裁判員裁判制度が実施されます。市民が刑事事件で罪を犯しているか否かの判断をしたり、罪を犯している場合にどのくらいの刑罰を科したらよいかを決めることになります。今までは、法律の専門家である裁判官がこのようなことを決めていたわけですが、裁判員裁判制度が開始されると、法律の専門家でない方々による判断が重要になるわけです。

新聞報道の中には、裁判員になることを消極的に考えている人がいるとの報道も目につきます。

しかし、中学生や高校生の段階で裁判員裁判制度について法教育を受けていれば、きっと、裁判員になることに積極的な人が増え、裁判員裁判制度も円滑に運用されるのではないでしょうか。


3 出張授業の実施

大阪弁護士会では、現在、学生向けの出張授業を実施しています。これは、学生の方に弁護士による出張授業を実際に体験してもらい、法教育の必要性を実感してもらおうというものです。

大阪弁護士会では、大阪府下の中学校・高等学校に対し、「弁護士の出張授業を体験してみませんか」と呼びかけました。この呼びかけにより、大阪府下の10校、53クラスを対象に、本年12月10日から1週間の期間中に、弁護士の出張授業が行われているところです。

出張授業は、「弁護士の仕事、消費者金融と破産、交通事故、家族や親子をめぐる法律問題、いじめ、刑事手続と裁判員制度、少年事件、民事介入暴力、労働問題等」というテーマの中から行われています。

この出張事業は、現時点で、10校、53クラスを対象に行うことが予定されています。

また、この出張授業の実施に伴い、本年11月15日に「初めてでも大丈夫!法教育―出張授業マニュアルー」という本も出版しました。

このような出張授業の実施を契機として、法教育が各学校で行われることを期待しています。

以上