第32弾!! 弁護士職務経験制度

大阪弁護士会副会長 今川 忠(34期)

1 弁護士職務経験制度とは?

これは、多くの方にとってまだ耳慣れない言葉かと思います。

この制度は、裁判官になって2年程度以上経過した人や検事になって5年程度経過した人が裁判官や検事の身分を離れて弁護士になり、また裁判官や検事に戻るという制度です。弁護士の仕事をするのは原則2年です。

この制度が発足した当初の2005年4月から現在に至るまで、大阪弁護士会は毎年2名の判事補と1名の検事を受け入れてきました。


2 弁護士職務経験制度は本当に役に立っているのか?

(1)体験談
弁護士職務経験者の話を聞くと、裁判官や検事のままであったなら経験できなかった、弁護士としての苦労等を実感として分かってもらえる点で、この制度は意義があると思います。
例えば、ある検事出身者は、「警察に被疑者の接見に行ったが、接見室が一室しかな く長時間待たされた。このようなことでよいのか。」という旨の話をされていました。また、ある判事補出身者は、法テラスの運営が始まる以前に担当した国選の刑事被告人事件について、「あれだけ労力と時間を使って一生懸命やったのに、国選弁護報酬が安いのに驚いた。」旨の話をされていました。
(2)当事者の目線を持った裁判官や検事の輩出
判事補や検事が短期間ではありますが、その身分を離れ弁護士としての仕事をすることは、弁護士の仕事を直接理解するだけではなく、依頼者と直接接する機会を持つことになります。このようなことを通して、弁護士職務経験を経た判事補や検事が、当事者の目線で事件を見るようになるのではないでしょうか。
まさに、当事者の立場が分かって仕事をする判事補や検事が増加することになり、当事者にわかりやすい判決が出されること等にも繋がっていくと考えます。

3 弁護士職務経験制度の更なる発展のために

-受入れ事務所に応募してください-

私達は、このような弁護士職務経験制度の意義を考えると、今後、この制度を利用する判事補や検事の数が増えるための努力をする必要があります。例えば、判事補や検事を受け入れてもよいという法律事務所の数は、本年度、大阪では9事務所にすぎません。まずは、受入れ事務所の数を増やすとともに、多様な事務所が受入れ事務所になる必要があると思います。

どうか、多くの事務所が受入れ事務所に応募してください。宜しくお願いします。

以上