2022.12.20 UP
企画調査委員会主催
友新会連続シンポジウム~サスティナブルな弁護士活動の実現に向けて(第1回)
~弁護士は、弁護士会は何をすべきか~
日時 2022年7月14日 18:00~20:30
場所 大阪弁護士会館2階
総合司会 水谷恭史(企画調査委員会委員)
(基調講演)
「一般企業におけるITセキュリティ対策と弁護士業界の格差」
株式会社日本パープル
後 藤 宗 輝 氏
(基調報告)
「弁護士業界に迫るICT導入の波-刑事手続を中心に」
大阪弁護士会
弁護士 山 本 了 宣
(パネルディスカッション)
パネリスト 後藤宗輝氏
山本了宣弁護士
三木秀夫弁護士(元大阪弁護士会副会長)
コーディネーター 水谷恭史弁護士(企画調査委員会副委員長)
【基調講演と基調報告】
企画調査委員会は,3回シリーズで連続シンポジウム「サスティナブルな弁護士活動の実現に向けて」を開催しました。第1回は,「司法手続へのICT(情報通信技術)導入」という観点から,弁護士業界において今後はITセキュリティ対策を十分に行っていく必要があるという基調講演と基調報告をいただき,パネルディスカッションにおいてはこれらを踏まえて弁護士や弁護士会はどのような対策を実施していくべきかについて議論いただきました。多数の方々に会場とウェブで参加していただきました。
情報セキュリティ事業者である日本パープルの後藤宗輝氏からは,まず始めに,ある弁護士の行動についての具体的なケーススタディを用いて弁護士業務における情報漏洩のリスクを解説いただき,情報セキュリティとは何かについてお話しいただいたうえで,情報セキュリティに関して一般企業が取り組んでいることをご紹介いただき,最後に弁護士業界を含む情報漏洩の事例をご紹介いただき情報漏洩の防止策についてもお話しいただきました。
山本了宣弁護士からは,弁護士業界におけるIT化がどの程度進んできているのかをご説明いただき,様々な情報漏洩の具体的なケースをご紹介いただき,クラウドサービスを利用する際に注意すべきことを教えていただき,誰でも自由に送ることができるメールの恐ろしさについてもお話しいただき,我々の情報セキュリティに対する危機意識を高めていただきました。
【パネルディスカッション】
パネルディスカッションでは,水谷副委員長がコーディネーターを務め,後藤様,山本弁護士及び三木弁護士に,弁護士業界において情報セキュリティ意識が低い原因,データを共有する方法,2要素認証などについて議論していただき,最後に弁護士会が取り組むべき課題についても意見をいただきました。
三木弁護士からは,弁護士業界においては組織で仕事をしていないことや外部からの指摘がないことなどが,セキュリティ意識が低い原因ではないかとの指摘がありました。後藤様からは,データの共有に関してはチャットを利用することが増えてきていることや,一般企業では情報セキュリティについて様々な研修が行われていることなどが紹介されました。山本弁護士からは,メーリングリストの危険性や2要素認証の重要性などについてご説明いただきました。
最後に,弁護士会が取り組むべき課題に関して,山本弁護士からは,情報セキュリティについての研修を充実させることや弁護士会として率先してセキュリティ対策を行っていくことなどが述べられ,後藤様からは,弁護士事務所が情報セキュリティに関する第三者認証を取得していくことに取り組んではどうかとのご提案があり,三木弁護士からは,弁護士会自体がまずセキュリティ対策を進める必要があること,それぞれの事務所の規模に応じた情報セキュリティ規程のモデルを用意することの必要性,情報セキュリティに関する研修も充実させることなど,弁護士会としてはなすべきことが多くあるとのお話がありました。
【別冊友新について】
このシンポジウムの内容について詳しくお知りになりたい方は,別途発刊される「別冊友新」をご覧ください。
以上