2022.12.21 UP

企画調査委員会主催
友新会連続シンポジウム~サスティナブルな弁護士活動の実現に向けて(第3回)

弁護士業務を魅力あるものとするために

~弁護士による権利保護を社会の隅々へ~

友新会企画調査委員会 副委員長 向井太志

日時 2022年10月20日 18:00~20:30
場所 大阪弁護士会館2階
総合司会 井上彩(企画調査委員会副委員長)

(基調講演)

①「中小企業と弁護士の関わり」~中小企業支援センターを通じた業務拡大の道

大阪弁護士会中小企業支援センター事務局長 
弁護士 小 林 寛 治(友新会)

②「税務分野と弁護士の関わり」~あなたにもできる国税不服申立て・税務調査の立会い

関西大学法科大学院教授(租税法)     
弁護士 元 氏 成 保(友新会)

③「中間支援組織の活動と弁護士の関わり」~部の役割の新たな視点

認定特定非営利活動法人 大阪NPOセンター事務局
高 見 理 恵     

大阪弁護士会業務改革委員会委員長     
大阪弁護士会元副会長           
弁護士 三 木 秀 夫(友新会)

(座談会)

「弁護士による権利保護を社会の隅々へ」

~弁護士の活動分野はまだまだある~

高見理恵氏  
三木秀夫弁護士
小林寛治弁護士
元氏成保弁護士

基調講演~3つの視点から

企画調査委員会は、3回シリーズで連続シンポジウム「サスティナブルな弁護士活動の実現に向けて」を開催しました。第3回は、「弁護士業務を魅力あるものとするために」という観点から、弁護士による権利保護が必要でありながら未開拓というべき分野が残されているのではないかという視点で基調講演と座談会を実施。多数の方々に会場とウェブで参加していただきました。

小林寛治弁護士の基調講演では、中小企業支援センターの活動として中小企業を取りまとめている団体やつながりのある金融機関などと提携し、法律相談や個別セミナーを開催し、弁護士と中小企業が接点を持つための機会を設ける活動が紹介されました。今後は第1次産業(特に農業)分野へ弁護士会が支援を差し伸べられないかを検討しているなど、更なる業務拡大に向けて精力的な活動をしていると報告されました。

元氏成保弁護士は、税務訴訟を取り扱う数少ない弁護士として、税務調査から税務訴訟に至るまでのプロセスやそれぞれの場面における弁護士の役割を解説。税務訴訟は、和解がなく法律論・事実認定論が正面から問われるので、和解におけるかけ引きが苦手な若手弁護士でも取り組みやすい訴訟だと強調されました。

高見さんと三木弁護士は、中間支援組織とは何か、どのような活動をしている団体なのかを説明され、高見さんが所属し三木弁護士が理事をつとめる「大阪NPOセンター」の活動内容も紹介されました。具体的にどのような企業団体が、どのような内容の支援を大阪NPOセンターから受けているのかについても、実例を挙げてご紹介下さいました。

座談会~

座談会では、向井副委員長がコーディネーターとなり、特に若手や独立したばかりの弁護士が中小企業・税務・中間支援団体と関わっていけるのかどうかという視点で議論を掘り下げました。小林弁護士からは、中小企業支援センターのスタッフとして加わっていただき諸団体と接触する活動を続けるなかで、中小企業関係者との関係が形成されることがあるので、受け身ではなく積極的に中小企業支援センターの活動に参画して欲しいとの話がありました。高見さん・三木弁護士からは、中間支援組織が支援する団体が抱える問題は法的な問題ではない事も多いがその悩みを共有して協力する姿勢を見せることがまずは大切だとおっしゃられ、その上で、支援を受けている団体は法的な問題が発生することも多く弁護士が必要となる場面があることや、税理士さんなど他の仕業の方も支援に関係しているため、人脈が広がる余地が大いにあることなどが述べられました。元氏弁護士からは、弁護士が税務調査に立会うことはその会社の権利保護にとって意味があるという経験談や、医師の診療報酬の適正調査などにも弁護士が立ち合うことで医師の手続的な権利保護が図られることがあったという体験談が語られ、これまでにない視点に会場も興味津々の様子でした。

団体や事業者の権利がないがしろにされている場面や社会活動を継続する上で弁護士を必要とする場面は、まだまだありそうです。弁護士が権利擁護のために活動する余地は残されていると実感できたシンポジウムになったと思います。

講演とシンポジウムの詳細は、別途発刊される「別冊友新」をご覧ください。

令和4年度 弁護士業務を魅力あるものとするために フォトアルバム
会場も盛り上がりました
質問する山岸会員
川村 友新会幹事長
小林弁護士
小林弁護士
元氏弁護士
三木弁護士 高見さん
高見さん
三木弁護士 高見さん
三木弁護士 向井弁護士

以上